カッコイイ粗大ゴミ
ブースではシャキツと話をしていたけれど、その直前まではダラーつとしていたという人は難しい。
だから、待合室はもちろん、筆記試験の様子さえも私たちは見ています。
面接は相対する限られた時間での勝負ですが、それ以外の部分でもお互い勝負だと思うのです。
ここでは職種に関する内容、志望動機、学生時代に力を入れたことなどを聞きます。
どちらかと言えば、その人個人に踏み込んだ話をします。
どのような目標を持って、その実現に向けてどのように努力してきたか。
そうした経験を大なり小なり持っていないと会社に入って大変だからです。
また、基本的に技術系を除く部門、事務系の採用では営業が多くなりますので、相手に不快感を与えるような人、誠実さに欠けるような人はM製菓らしくないという判断もあります。
面接の段階で深く突っ込んだ話をして、お互いに信頼関係を築けないようでは、採用後に一緒に仕事をしていくことは難しいと思うのです。
では、仕事や職種への適性についてはどのように判断するのか。
これはM製菓という企業について、どれほど真摯に研究してきたかでわかると思います。
多いのは、当社のホームページだけ見て、分析してきましたという人です。
あるいは、商品企画をやりたいと言いつつ、何か商品のアイデアがあるのかと質問すると、「今はないのですが、入社後にがんばります」という人。
「マーケティングをやりたいんです」と言うので、どういうことをやりたいのかと尋ねると、一般論しか話せない人。
いずれも残念ながら、ぜひ採用したいという気持ちにはなれません。
企業研究をするのに、ホームページだけで十分でしょうか。
また、商品企画をしたいのであれば、最低限一つくらいアイデアを持っていてしかるべきだと思いますし、マーケティングをしたいのであれば、M製菓と他社の商品を食べ比べしたり、販売店の棚チェックをしたりするんじゃないかと思います。
つまり、本当に深く企業について考えたとき、それは結果として何らかの行動、何らかのアプローチとなって出てくるのが自然だと思うのです。
実際、面接の場に具体的な提案やレポートを持参してくる方もいます。
そう言って、陳列棚の図まで書いて持ってくる熱意ある方もいるのです。
具体的な行動かあってこそ、説得力を持つのだと思います。
三次面接では、事業部門と人事の会社側三名で学生一人と相対します。
話はより職種にフォーカスした内容になりますし、内容も一段高いレベルになります。
最終面接は人事担当役員含め会社側三名で行っています。
この最終面接では、九割から九割五分の学生に対する評価は面接官の意見が一致します。
ところが、一割弱は「エクセレント」か「バツ」で極端に評価が分かれます。
このケースで多いのは、“とんがった”タイプです。
鼻柱が強く、強い信念や夢、主張をもっている人。
こういう人材は、面接初期の段階では「できるだけ落とすな」と私は言っています。
しばしば鼻柱の強いタイプに対しては、感情的に落としてしまうことがあります。
ですが、こういう人材には、将来、会社を変革してくれる可能性を感じます。
組織は均質的になるとよくない方向に向かうものです。
“とんがった”タイプのみならず、いろいろなキャラクターの人間がそれぞれに個性を活かし輝いている「多様性」が、組織には不可決だと思うのです。
実際、選考で迷ったけれど、入れてみたら結果的によい成果をあげたという人だって少なくありません。
たとえば三年前に採用した営業職の男性社員がそうでした。
彼は野球部出身で完全な体育会系。
話し方はおぼつかない。
座らせるとうまく喋れない。
面接官の間でも「彼は喋れなさすぎではないか」という不安の声もありました。
しかし、私は最終面接でも彼を推したんです。
なぜそこまでしたのかと言えば、最初に出会った大学での説明会で、彼は独特の輝きを放っていたからです。
彼は説明会で、最後の一人になるまで「ちょっとよろしいですか」と質問を重ねてくる学生でした。
言葉は拙く、器用ではありません。
しかし、そこに芯の強さと、核心をつく質問に何かをやり遂げる可能性を感じました。
聞けば、彼は野球の世界でもそうして武骨にやってきたそうです。
面接後にも質問に来たりと、最近はほとんどいないタイプですが、粘り強さは誰にも負けないだろうと思えました。
私は彼についてこう考えました。
最初はうまくいかないかもしれないけど、いずれはよき管理職になるタイプではないかと。
役員にも了解をもらい、内定を出しました。
見込みは当たりました。
入社当初こそ不器用で苦労した面があったんですが、今は、担当営業部門で一番の成績をあげています。
「あのような学生を採用してよかったなあ」と後になって部門長に言われましたが、その部門長こそ彼の採用に反対していたのだからわからないものです。
また、逆に学生側が迷っていたというケースもありました。
いま三年目の女性ですが、彼女はおそろしく頭の回転が速く、面接ではこちらも唸るほど鋭い質問を投げかけてきました。
しかし、その分とてつもなく率直で、「明治じゃなくてもいいんです」とも言っていたのです。
その言葉に偽りはなく、他社の選考も含め、どこの部分でどの程度迷っているか、非常に具体的かつ率直に自分の気持ちを言ってくれました。
この人は入社したら、相当に実績を伸ばすだろうというのが見えました。
もちろん、優秀なだけに、他社の内定も複数持っています。
彼女が当社を選んでくれた時は、正直うれしかったことを覚えています。
採用後の実績は予想通りでした。
機転が利いて、入社当初から抜群の成績をあげてくれました。
三年目にして、通常六~七年目でなるリーダーに抜擢され主力になっています。
彼女のケースなどはこちらが量られているなという懸念もありました。
来なかったら、私どもの力量不足だとも覚悟していました。
実際、学生に内定を出した後で断られるケースもありますから。
彼女については、こちらが誠意をもって臨んだことで、彼女も誠意で応えてくれたのだと思います。
学生にとって採用の場は勝負ですが、われわれ人事にとっても勝負なんです。
入社後は全職種共通の新人研修が1ヵ月間の泊まり込みで行われ、社会人としての基礎知識やマナーから、自社の組織や事業内容まで、基本的な所作や知識が詰め込まれる。
事務系技術系を問わず、新人には指導員がついて業務のあり方を学んでいくことになる。
技術系は研究所や工場からのスタートだが、その後マーケティング等の事務系部門へ行くこともある。
こうした複数の部署を跨いだ異動が商品開発には役立つことがある。
いろいろなバックボーンを持った個人そして組織から、斬新なアイデア・知恵・工夫、そして技術が生まれ、ヒット商品につながっている。
当社の商品開発の中でも、ひときわ長い年月を要したものがあります。
二〇〇二年に発売した栄養食品「アミノコラーゲン」。
これは研究者と営業担当者が粘り強くがんばって開発した事例です。
最初、薬品の営業担当者だった者がヘルスケア部門に行って、この商品を思いつきました。
ヘルスケア部門では、シニア向け商品に力を入れており、長寿に関係するような商品に関わっていました。
ところが、調査してみると、女性の高齢者では単に長生きというだけではなく、美しく年をとることにより関心が高かったのです。
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